2016年3月31日木曜日

2016年3月13日「地下鉄サリン事件から21年の集い」テーマ:死刑についてーオウム事件を考えるー「被害者遺族の本音」

高橋シズヱさんがインタビューした「被害者遺族の本音」とされる映像の書き起こしをupします。


2016年3月13日「地下鉄サリン事件から21年の集い」テーマ:死刑についてーオウム事件を考えるー ①
こちらの文中と合わせてどうぞ。





映像「被害者遺族の本音」
※高橋さん以外の名前は全て伏せました。


1人目
男性(負傷者):
えー・・・やっぱり目ですね、完全にこう、瞳孔が縮まっちゃって、あの、ちょうど夕方の薄暗い・・・ああいう状態の目に、完全に薄暗くなりましてですね。


死刑っていうのを、早めに、もう決まってるんですから、してもらいたいっていう気持ちは持ってます。
それは、ここはやっぱり悪いことしてるんだから、犯罪してるんだから、やっぱり死刑は死刑で執行していただきたい、という気持ちは持ってますね。あの、それをあの、廃止したりなんかするってことは、今まで決めてきた人に悪いんじゃないかと思います。はい。


(自分は事件について)残すよりとか、(事件の背景を)みなさんに語ったり、いろんな取材に出たり、出来るんだったら、友人同士や知り合いでも、なるべく語るようにしています。


2人目
男性(負傷者):
(事件当時について)(目の前が)薄暗くなってきたので、あわてて、自力で、逃げました。細い、道に逃げ込みまして、50mくらい行った時点で、目が一瞬で見えなくなりまして、そのまま行き倒れみたいな、記憶を失って倒れてしまいました。


林郁夫の裁判を傍聴しましたけどね、あれでわたしね、すごく緊張しましてね、裁判の難しさとかね、感じましたねえ。


そうですねあの、わたしはね、なんであんな優秀な人たちがね、ああいう悪い道に入りこんだのか、非常に強い憤りを感じますねえ、なんの権利で、われわれのこの、社会の・・・今でも・・・わかりませんねえ、なんであんな道に入ってったのか。


やっぱりあの、司法がやったことは納得してますけど、まだまだあの、死刑執行までいってませんからね、執行してもらいたいですねえ。


高橋さん:もし(死刑囚に)会えたら、どうしてあんなことをしちゃったんだ、って聞いてみたいですか?


男性:(質問に食い気味で)あ、聞いてみたいですねえ!一歩踏み出した時の分岐点ですか、気持ちをね・・・できれば聞きたいですね、聞きたいです。
林泰男ですか、あの人、サリンの袋を3個、1個(を他の人より)余計に持ったってことで、気になってますけどねえ・・・聞いてみたいたいと思いますね、今の、(自分たちの)辛さというものを、わかっていただきたいですねえ・・・


3人目
女性(遺族):
(亡くなった妹さんが事件にあったところをみたという)女性の方の、名前も住所もわかったので、その方に連絡をしました。そしたら手紙をくださったんですけども。
その手紙の中に、日比谷線のホームに、でたら、すごく苦しんでいる人がいて、ものすごいケイレンを起こしてるのをみて、その女性は「あ、これはすごい、てんかんの発作かもしれない」と思って、ちょうど近くの娘さんが看護婦さんをその頃していたので、その娘が言った、胸を広げたりとかいろんなことを教えてくれて、それで、もう一人女性が、売店の女性に「助けてください!!」ってもう、すごい状態で言ってるのをみて、そしたら売店の女性はもう、「救急車を呼んでほしい!!」ってことを、悲鳴のように言って、大声をあげたんですって。そしたら、「もう、救急車は、呼んであるよ!」という声とか、いろいろな人がこう・・・すごい騒ぎになっていたんだけど、そこへ、「わたしは医療のものです」ってことをいう男性が来たので、その方と一緒に、人口呼吸をしたり、しているうちに、妹はもうぐたっ・・・としてしまって、ものすごい・・・こう・・・唾液を出すので、それを拭いたりしました、っていうお話を聞きました。

死刑制度があって良かったんじゃないって、思います。

もし妹が、サリン事件にあってなく、親族がだれもあってなかったら、わたしの場合、えー・・・刑罰200年とか、刑罰300年というふうなことを言って、「死刑は、反対!」って言ってたと思うんですけど・・・


その先に、どういうことが起きるかっていうことをね・・・考えてない人がいるんじゃないかなって、決めつけてはいけないんですけど、そう思うんですけど、多分オウムの人たちも、そうだったのかなあって・・・とても、狭い範囲の中で、考えを固まめてしまって・・・もし、違う意見があっても、「あー、そういう意見もあるのかあ」って、思えたら、違う世界が広がると、思いますけどね。


4人目
高橋さん:(事件当時)何が起きたと思いましたか?

男性(負傷者):全然わからなかったですね。霞が関までの車内で、みなさん、周りの方々が、咳き込んで、なんか、バタバタしはじめて、そのとき、いつもなら座れないとこで座って、寝てたんですね、全然状況がわからなかったと。
で霞が関についたところで、みなさんバタバタ降りて行って、目の前、一番先頭車両の、前のところに、駅員さんが、なんか誰かに言われて、たくさん入ってこられて、袋?を出していたとこを見てて、何があったんだろうな〜とこの騒ぎは何なんだろうなと、ニオイも正直、かいでみたりとかしたんですけど全然、わかんないし、果たしてなんでみんな咳き込んだのか、アレ(袋?)が原因なのか、なんなんだろうなこれは、っていうのは覚えていて、水があって・・・で、全然あとの被害は、わかんないまま、そのまま会社に行って、体調がおかしくなってきたんで、一時間くらい、でやっと、赤坂病院いって、何が起きたのかさっぱりわからないっていう・・・わたしは目が見えないんで、声だけ聞いてると、病院の方が、眼科に電話するようなことを、聞こえてて、でわたしの番になったとき、何も言わずに「即入院してください」って言われたんですね、なので、何が原因だとか、何がどういう症状だからこうだとかいうこともなくて、この状態なら即入院してくださいと、いうことでしたね。

死刑が確定したことについて、それは、あの、必ずしも・・・(司法が)判断されたことですから、いま自分が、うーん、異論はないですし、ただ死刑っていうのは、死んでしまえはそれだけのことになってしまうので、そういう意味では、無期懲役でなくて、終身刑のような、ずっと責任を負うような、・・・ことを、望みたいかなと個人的には思いますけども・・・

高橋さん:(死刑囚と)面会が、できるとしたら、どうしますか?

男性:僕は別にしたくはないですね・・・うーん、実際自分の職場とかで、自分の経験を話していると、まだ今の段階で、20代のコとかは、わかんない、何かで見たとか、そういう程度で、それを実際に聞いたことないということで、(体験談を聞いたことあるような人は)一人も居ないですから、今の段階で、知らない世代が多い・・・たったの20年かもしれないけど、それだけでもこんなギャップがあるんだな、っていう・・・まあ知らないと怖いなっていうことですよね・・・


5人目
男性(負傷者):えっとですね、築地で、外に出て、六本木の会社に向かうまでに、タクシーで避難したんですけども、目の前が暗くなる、視野がだんだん狭くなる、涙が出る、それから、鼻水ですね、鼻水がやたら出てくる、で、若干こう、心臓が苦しいっていうか、息が苦しいというそんな状態がだんだんだんだんと、六本木に向かうにしたがって、強くなって、で、会社に行ったらもう、ほんとにもう、一部爆破騒ぎだどうのこうのって言いながらも、わたし一人が会社に行った中で、すごいやっぱり、症状が悪くなってきたと。

高橋さん:裁判を傍聴したことはありますか?

男性:麻原のも聞きましたし、そのー、ほんとに、こいつら(オウム信者)何を考えてるんだろう、っていうのと、彼らは、何もほんとのことっていうか、なんであんな・・・そんなことをやったんだってことを、ほとんど語られてない。

それは、しっかりと、極刑は極刑で、されるべきだと思ってるし、その判断を今持って下せないっていうのは、おかしなことだと思っている一人ですけれども。
やっぱり、罪というのは償ってほしいなと思っています。

ある意味抑止力にもなるし、これから同じようなテロを企てようとするような、まあ世界的にみれば、ISのようなこともあったりするんですけどね、ある部門でちゃんとした情報をその、専門家がですね、訪ねて行く、でなんでなんだ、どうなんだっていうね、やっぱりその辺は、しっかり、分析をして、抑止力っていうか、犯罪の抑止力の糧にするっていうのは、絶対必要だと思いますね。

ほんとに、量刑としての、終身刑みたいな制度も一つだと思うし、やっぱり量刑としての終身刑、そして、死刑というのを、絶対残すべきだな、と思っています。

高橋さん:終身刑は死刑の代替案にはならない・・・?

男性:ならない!それはならない。よく、ありますよね、無期(懲役)っていう。無期も、途中で出てきたりとかあるじゃないですか、だから、そういうことではなく、終身。終身ってことは全く出られないってことで、ただ、死刑イコール・・・代案ではない、っていう風には思います。

感情として、それこそ昔の時代だったら「敵討ち」ですか、そういう考え方のDNAが日本人の中にあるんじゃないかなと思うし、それは、宗教的な意味でも、それは、償いとして、ありうる、というような・・・感情論・・・あの、DNAの中にあるんじゃないかなって、僕は思うんですけどね。


6人目
女性(娘さんを亡くされた遺族):T(娘さん)が身につけていたものをわたしも身につけると、自分も勇気が出るんです。
(事件当日)Tが(警察署の)下にいる、っていうから、入った時にお巡りさんが、迎えに来てくださいって言われたから、行ったんですよ、迎えに行っていろんなこと聞かれたんですけど、あたし、答えることができなかったんですよ。死んだこともよくわかんないのに、しゃべることできるわけないじゃないですか。お父さんが一生懸命しゃべってましたけど、まず第一に、Tに合わせて欲しいって言って。
そしたら地下室まで、エレベーターで降りて、「ここです」っていうから、わたし「え、なんでこんな地下室ですか」って聞いたんですよ、そしたら「ちょっと待ってください」って言われて、それで冷蔵庫みたいのをガチャンって開けて、冷たい風がぴゅーってきたんですよ、冷蔵庫から、出して、棺が、入ってて、「お母さん触らないでください」って言われて、それで開けて、ビニールが張ってあって、つめたーい冷蔵庫に入ってるから、一回触った時冷たかったです。「なんで姉ちゃんこんな冷たい中にいるのお父さん!」って言ったんですよ・・・

高橋さん:警察の人はなんて説明してました?

女性:わたし聞いたんですけど、覚えてません。

高橋さん:サリンで亡くなったってことは、いつ知りました?

女性:主人から聞きました。お父さんがね、「Tはサリンで死んでるから、ビニール張ってて触れない、Tには直に触れない」って、サリンがなんだかわかんないから、「なんで触れないの!!」って、「そういう決まりだから」ってお父さんは一生懸命わたしをなだめてくれたけど、わたしは自分の頭では、ほんと「お姉ちゃん帰ろうよ」って抱きしめて帰りたかったです。でもビニールでびちっと目張りしてあって・・・あの時は、自分でも帰りどうやって帰ってきたか覚えてません・・・

高橋さん:なにか言いたい、って思う被告人はいましたか?

女性:林泰男です!・・・何を言いたいかというと、わたしの娘を殺して自分は、逃げて、まして女性と二人で逃げたってのがわたし許せないです。
(死刑確定して)よかったと思いました。わたしはよかったと思う、すごい親だと思うけど、って主人も言ってました。お前は気の強い女だけど、って。母親だったら娘殺されて、笑ってる母親はいないと思います。

高橋さん:今からでも(林泰男に)会って聞けるとしたら、聞きたいですか?

女性:あたしはもう、娘は死んでいないんだから、何聞いても娘は帰ってこないのでわたしは聞きたくありません!
親としてわたしは、あの人の死刑のボタンを押したいと思います。あの人たちに対して、何も悪いことしてないと思います。それなのに、ああやってしたんだから、わたしは親として殺したい。死刑がどうのこうのじゃない。自分のこの手でボタンを押し、親の仇として、仇を討ちたいです。
これはね、身内がこういう立場になってみないと、死刑があっていいか悪いかって言われると、困るって思うんですけど、自分はわたしの娘がああやって殺された以上、殺した人は死刑になってほしい。

高橋さん:死刑に反対してる人たちがいますけれども、その人たちはどうしてそういうようなことを主張してるのか、聞きたいですか?

女性:あたしは、聞いてもあれなんですから、自分たちがどういう・・・ほんっとに・・・・真の底から悲しい思いをしてないからだと思います。

高橋さん:「いや、してるんだよ実は・・・」ていうことを言われたらどうしますか?

女性:そしたらわたしは、あなたは仏さんみたいな人だねえ、って言います。あたしはそこまで、人間穏やかでないから。そういう気には全然なりません。


7人目
男性(妹さんが重体となった方):
(事件当日、病室にて)もう・・・痙攣してる状態だったし、わたしが病室の中には行って触ろうとしても、「触らないでください」って言われたし、体にはいっぱい器具が付けられていて、人工呼吸器から、さまざまなものですね、管を通されて、おしっこも含めて、そういった状態で顔を見ても、もうほんとに、生きてるかどうか分からない。で、いつ死んでもおかしくないという状態だったので、まあたまたま どうしたんだろう、とにかく助かってほしい、なんとか助かってほしいという、その気持ちだけでしたね。

高橋さん:泣いたことはありますか?

男性:その控え室で僕は一晩、そばにいることは出来ないんですけども、一晩いていいよってことだったので、ずっと一晩いて、その翌日に・・・ま、安定、少し、してますから、「一回お家にお帰りになって」ってことで、うちの家内の車に、迎えに来てもらったんですね。車で運転をしてもらいながら、一度だけ「ごめん、泣かせてくれ」って言って、かなり大声で・・・ほんとに、大声で、助手席で泣きましたね。
それから、うちの母たちもずっと泣いてばかりだったので、なんかいろんなこと、死んじゃえばよかったって、うちの母が言ったんですけども、そのことがあったんで、それから、両親を含めて、僕は絶対泣かないようにしようって、だからそういった意味では、一度だけ大きく泣いて、その後は、極力、家族の前で泣かないようにしてます。

高橋さん:奥さんだけには見せる?

男性:そうですね、うちの家内、しか、しらないですね、はい。

高橋さん:どうして泣きたいと思ったんですか?

男性:なんでなんでしょうねえ、今思うと全然分からないんですけども、悔しい気持ちですとか、なんでこんなことになっちゃったのとか、なんで僕の妹がとか、いろんな複雑な気持ちだったと思います。

そうですね、一番僕の中で、記憶に残ってるのが、松本智津夫の傍聴したときに、前から、僕は、真ん中くらいの席だったんですね、で本当に・・・少し歩いて手を伸ばせば届くところにいたので、その時は本当に体がわなわな震えて、ほんとに・・・そばに行って、殴りつけたい、そんなような心境でしたね。

あのー、ぼくの中では、特に、印象に残ってるのは、やはり、広瀬健一死刑囚が、出てきた時、どうしても一番最初に聞きたかった部分だったので、そこは、「一生懸命に、いろいろなことを思い出しながら話そうとしている広瀬健一」というのが印象に残っていて、それがいい悪いとかではなく、彼は彼なりに、いろいろなことを思い出して、話をしようとしてるんだろうなということは、印象に残ってます。

事件当初の本当の気持ちと、今、うちの妹に対して、また、何人か亡くなってますから、その人たちに対してどういう気持ちなのかは、聞いてみたいですね。
ただ多分、返ってくる答えは「すまなかった」で決まってると思うんですが、本当にどうしてそういうことになってしまったのか、ということであれば、今であれば、少し聞いてみたいという気がしますね。本当に話せる、ってなるなら、やっぱり聞きたくないっていう気持ちの方が、強くなってくる気がします。
・・・今、話をしていておもったんですが、やっぱり、仮に、ということで、頭の中で想像したんですね。自分の中で。広瀬と面と向かって話ができるということになったら・・・やっぱり聞きたくないですね。うん。聞きたくない・・・聞きたくないです・・・想像した時点でちょっとイヤだったので。
うん、事件当初は、やっぱりニュースにも触れたくないし、見たくもないし、ニュースが出て来れば、自分から拒絶していて、でその中で、このままじゃいけない、と、被害者の会に出席させてもらって、いろんな人のお話を聞いたり、さまざまな人たちのお話を聞くことによって、なんていうんだろう、最初の、妹が助かればいい、そこから、なんとかしたい、で、時間が経つにつれ、少なくとも、事件当初に比べれば冷静にみることができるようになったとは思いますね。でそれによって、自分が、裁判員裁判に参加させてもらうまで、時間だったり、経験だったり、様々な人たちのアドバイスを受けることによって変わったっていうことは、あると思います。

死刑制度があるというなら、YESなのかなあと・・・で、その人の、犯罪者である、死をもって償うってことだと思うんです。
でも死をもって償うのは、ある意味、その人にとってもしかしたら、ラクかもしれない。なぜかというと人が変わってしまうわけですから。でも、もっと長い間、たとえば、何年も・・・海外では終身刑ということがあると思うのですが、その間辛い思いをして生きて行くほうが、もしかしたら辛いかもしれないし、ただ、犯罪をした人たちが、辛い思いをすることがいいことなのか、ってことは、疑問なんですけども、ほんとにイエスかノーかっていうのが、僕の中で、決めかね・・・ますね。
死刑が、契約書などで入ってる部分、そこは、国の税金なりなんなりでまかなわなければならないと思いますね。
そうするとうちの妹は一人で生きていけないですよね、じゃあ、もし、それって僕たちが何かあった場合、妹はどうしたらいいのだろう。被害を受けた人たちが、生活していける環境を作るべきだと思うので。そういうの改めてできないのかな、って思ってしまいます。
話の中で、わたしの大事の人たち、周りの友達、友人、その中で、僕の事件に対しても、周りの人たちは、死刑にしちゃえばいいじゃないか、って簡単に言葉が出てくるんですね。それは、多分自分が事件の当事者じゃないから言える言葉だと思うんですね。僕ももしかしたら、この事件の当事者じゃなくて関わってなければ、死刑にしちゃえばいいじゃないって思うかもしれない。でも、自分がその当事者になったとき、死刑によって、全てその事件が終わるわけではないですよね、ていうことを考えていくと、死刑制度が本当にいいのかどうなのか、終身刑のほうがいいのかどうなのかっていうことを考えると、何が一番いいのかって、僕の中で答えが出てこない、というのが本音ですね・・・




映像は以上になります。


2016年3月13日「地下鉄サリン事件から21年の集い」

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